2008年11月24日 (月)

「死亡推定時刻」 朔 立木

本の帯の「あなたが裁判員になったとき真実を見抜くために」というコピーにつられて。

死亡推定時刻 (光文社文庫) Book 死亡推定時刻 (光文社文庫)

著者:朔立木
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地元の有力者の一人娘が誘拐された。
警察の指示で行なった身代金の受け渡しに失敗。
娘は死体となって発見された。

誘拐。
身代金を払って人質が無事戻ってくればそれで良いのか。
犯人逮捕を優先すべきなのか。
本当に人質が無事なのか。
非常に難しいことだと思います。

犯人逮捕を優先させた結果、身代金を渡せなかったことが娘の死の原因と考える遺族。
遺族(有力者)と揉め、過去の事実を暴露されるのを恐れ、身代金の受け渡し時には既に娘は「死んでいた」ことにしたい県警本部長。
県警本部長の思惑通りに事実は捻じ曲げられて…。
やっぱりみんな一人の人間だから、権力には、そして組織には逆らえない。

気のせいか、立て籠もりや誘拐関連の小説を読むと、警察のキャリアの方々の横暴が多いように感じられます。
ミスを極端に嫌い、定石通りに作戦を指示、リスクを伴う作戦は部下に指示させ、手柄はもちろん自分がいただく。
まあ、どこにでもそんな奴は居るのでしょうが。

容疑者の小林を犯人に仕立て上げ、死亡時刻を変更しようとする警察。
息子の無実を信じ、ボロボロになって亡くなった母。
その母の傍に居ながらも何もできない父。
やる気のない弁護士。

ここまでは読んでいてとても辛かった。
自分の立場を守るため、組織のために、金のために、人間関係のために。
さまざまな理由で人は態度を変える。

国選で川井弁護士が付くと、一転、どうすれば疑いを晴らすことができるかが中心。
なるほど、人は真面目に働こうとすればするほど、苦労するものなのですね。
本当の悪人もいるし、冤罪に近い人もいるということ、人が人を裁くのは本当に難しいことだと改めて感じました。
被害者の家族も、うすうすは真犯人の見当がつきながらも、新たに波風を起こしてまで捕まえなくてもよいような態度で…。
捕まった若者も不運としか言いようがありません。(もっとも本人も悪いのですが)
後半から一気にラストまで読み切りました。
もし自分が「裁判員」であったなら…。

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