2006年11月 3日 (金)

「クライマーズ・ハイ」 横山秀夫

昨年読んだこの本、日航機が御巣鷹山付近に墜落した事故を、地元の警察官の目で見て(特に遺体の扱いについて)書かれてありました。

墜落遺体―御巣鷹山の日航機123便 Book 墜落遺体―御巣鷹山の日航機123便

著者:飯塚 訓
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


これを読んで、この事故は本当に大変なことだったんだということに、あらためて気付きました。
我々が見ていたのは、TVやラジオ、新聞など、「マスメディアの中の事件」であったことを…。
五百人を超す人々が亡くなったこの事故を、風化させないように記憶しておくことが重要だと感じました。

クライマーズ・ハイ Book クライマーズ・ハイ

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


そして同じく日航機墜落事故をテーマにしたこの小説。
買うべきかどうか、またまた迷っていました。
「世間一般に評判が良い」なんて聞くと、どうしても素直に手に取れない性格なのです。
そんなとき、ふとしたきっかけからG社のK君が背中を押してくれましたので…。
早々に入手しました。(いつものことですが、そうと決めたら早く欲しがる性格です)

新聞社に勤める主人公の話ですが、日航機の墜落事故の全権デスクを任される。
一緒に登山に行くはずだった友人が倒れ、上司や部下と揉め、家庭でも落ち着くことができない。
世間の流れに身を任せ、ひたすら保身をはかり、当たり障りの無い人生を送っている人間も大勢いるというのに…。
なまじ(自分なりの)正義感を持っているために、言わなくてもいい一言を言って、突っ走ってしまう男。
そのくせ、「こうしなければならない」という自分なりの規範を持っているため、常に予想通りに行かずに悩み続けている。
この主人公の気持ち、良く解ってしまうんです。
それゆえ、物語にのめり込み、必然的に読む速度も上がっていきました。

亡くなった友人の息子との登山中に、過去の出来事を織り込んでいくようなかたちで進行していきます。
主人公は前述の性格のため、家庭においては家族(とくに息子)とうまく付き合うことができず、職場でも(とくに上司と)うまく付き合っているとはいえません。

物語の進行中に、新聞社に新聞を分けて欲しいという母子が訪ねてくる。
同僚から自販機で買える事を聞き、階段を降りていく母子。
主人公は四日分の新聞を抱えて走り降り、それを母親に渡す。
母親の目からは大粒の涙が溢れ出た。
やはり日航機事故の遺族だったのだ。
泣くのは遺族の仕事だ。何度心に言い聞かせても駄目だった。
事故のことを一番知りたいのは遺族なのだ。
だが、後日、事故原因のスクープを載せる直前までいったのに、確固たる確証が無いとのことで「NO!」の判断を下してしまう。
その記事の内容は他紙の朝刊にて取り上げられていた。

この小説のなかで印象的な出来事でした。
主人公にとっての「いろいろなこと」が解けていき、未来への希望も見えてくるエピローグも好い感じでした。

| | コメント (0)

2006年1月 8日 (日)

「半落ち」 横山秀夫

半落ち Book 半落ち

著者:横山 秀夫
販売元:講談社

Amazon.co.jpで詳細を確認する

アルツハイマーの妻を殺した元警部。
事件ににかかわる男たちは、この空白の二日間の解釈をめぐっていろいろな生き様を見せていく。
しかし、解明されることもなく、捏造された供述で裁判へ…。
そうすることが犯人(梶聡一郎)のためでもあったのだろうか。

それにしても記憶を失っていくということは辛いことだと思う。
自分のしたことを覚えていない、文字通り、自分が自分で無くなっていくということではないか。

今回の本は泣ける小説かと思っていたが、実際は泣けたというよりも考えさせられたことのほうが多かったかもしれません。
結末については、大まかなことは予想がつくのですが、(歌舞伎町で遊んでいるわけがない)
男たちの生き様に感銘して最後まで引っ張っていかれます。
これは単純に泣かせる小説ではありませんでした。

| | コメント (0)