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2008年3月 9日 (日)

「時計館の殺人」 綾辻行人

今度の本は厚みもあるし、読み応えもありそうです。
それに「第45回日本推理作家協会賞」を受賞した作品らしいです。

時計館の殺人 (講談社文庫) Book 時計館の殺人 (講談社文庫)

著者:綾辻 行人
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「時計屋敷」と呼ばれる館、森の中に建つ針の無い時計塔。
そして、設計者は建築家「中村青司」。

「十角館の殺人」にも登場した江南孝明は雑誌編集者となっていた。
そして、こちらもすでにおなじみの島田潔を訪ねる。
前述の「時計屋敷」を大学のミステリー研究会員達と一緒に取材をするという。
現在は、鹿谷門実(ししやかどみ)というペンネームで執筆活動を行っている島田潔であったが、中村青司の設計ということに胸騒ぎをおぼえるが…。

江南は、取材班と大学生と霊能者の総勢9人で時計屋敷の旧館に三日間籠もることに。
そして、鹿谷は、本当はその取材に来るはずだった大学生「福西涼太」と偶然にも知り合い、別の方向から「時計屋敷」にアプローチすることに。


今度の「館」の見取図をみると、まさに中村青司の設計という感じがします。
依頼主は資産もあり、かなり複雑な事情を抱えていて、さらに増築までもしているという事。
「館」としての資質は完璧です。


江南たちのいる旧館で起こる殺人。
密室状態にある館のなかで次第に疑心暗鬼になっていく仲間達。
そして部屋の中で、また一人ずつ犠牲者が増える。
それは十年前のある出来事に関係していることなのか。

そして鹿谷もまた、別の角度から時計館にかかわっていく。
若くして命を失ったという「時計館」の先代当主の娘。
続けざまに命を落とす関係者。
現在の「時計館」の当主である、うつろな美少年。
針の無い時計塔。
先代当主の棺に刻まれた散文詩、「沈黙の女神…」。


我々は時計という機械を使い、時間を支配していると思い込んでいる。
しかし、本当のところは、時計を使う事により時間に縛られているのではないだろうか。
明るくなったら起き、暗くなったら眠る、そして腹が空いたら食事を摂るのが自然であるとすれば、すべてを時計の針(数字)で判断している現在の我々の生活は、むしろ不自然なことではないのだろうか。
そういえば、時計の示す時刻が時報と合っていれば妙に安心したりするし、より正確な時刻を望み電波時計を手に入れたり。
見事に時計に支配されている自分を発見したりもしました。


長年積み重ねられた想い。
周到に用意された計画。
そしてさらなる驚愕の結末。
十年の時を経て明かされる沈黙の女神の正体。


良かったです。
単なる犯人捜しやトリックを見破るだけが「ミステリー」ではないと思います。
今回はそれに勝る感動をいただいた気がします。
これだから本を読むのはやめられません。

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